今月の初めに収めた富山県『自遊の森』の石窯に早くも異変が起きました。
自遊の森ではバーベキュー会場も大きくすごいですが、ピザ焼き体験も大変人気があります。
すでに、その新しい石窯も稼働中でした。
自遊の森ではBBQや石窯ピザが大人数でもできる。
写真は半屋外BBQ大会場。
ところが、先日電話がありました。
『断熱材が天井からパラパラと漏ってくる。』
とのこと・・・。
石窯を組み合わせてある接続部分に隙間でできたのか?
結構、ヤバイことです。
使っている断熱材は、地元である長野県和田産の黒耀石を原料とするパーライトというもので、雛あられのような細かい粒々です。ものすごくサラサラとして軽いものです。
天井から降ってくる、ということは焼きあがったピザにかかるので大変なことです。
今までは無かったことです。
すっかり屋根も完成しているし・・・、困りました。
とりあえず電話で、
『窯の内側から残しておいた耐火パテでふさいで応急処置をしておいて下さい。』
とお願いしました。
が、どうにかしないといけません。
原因を考えると、製作した時に若干パテの水分が固かった。
とか、パテの量が多すぎた。
とか、心当たりも多少あります。
しかし、今回総合キットを軽量化するために使った素材の特性も気になります。
電話を切ったあと補修法を順を追ってイメージしながら、改良対策をいろいろとシュミレーションして考えました。
でも、あれこれ悩んでいてもしょうがない。
『よし。行って分解しよ!』
改良するための材料をイメージして、即発注!日取りを決めて行くことにしました。
というわけで、20日早朝の3時発、安房トンネルを抜けて予定通り富山県南砺市に8時、到着。
朝から分解仕事に取り掛かかりました。
しっかり作った屋根を丁寧に分解し・・・、でも部分的に剥がれ・・・、そのうち部分的に壊れ・・・。
でも大丈夫!
シュミレーションが役に立ちました!
壊れるだろうと想定していたところが予想通り壊れて剥がれました(^^♪。
その材料も、持ってきて良かった・・・です。
断熱材を取り出している松ちゃん=自遊の森のピザ職人
作る時は一瞬で投入した粒状の断熱材も取り出すのは大変。
ピザ職人の松ちゃんが一生懸命手伝ってくれました。
それと、持ってきた大型の掃除機も大活躍!吸い取ってはあけ。吸い取ってはあけ。
断熱材の掃除機吸い取り法は使えました。
これもイメージ通り。
こんな具合でしたが、お昼前にはなんとか石窯本体ドームをあらわにすることができました。
観察すると、結構、接続部分のパテの収縮が大きく、やはり隙間があいていました。パテの量はあまり多くない方が良いことが分かりました。また、軽量素材は今までのものより若干収縮率も大きいようで、それも関係していると見ました。
実を言うと、軽量素材のドームとパーライト断熱材の組合せは今回が初めてでした。新しいケースには、別の問題が現れるのだな、ということも実感しました。
ドームの隙間をより強力な耐火パテで補修
まずは当然ですが、できた隙間をより強力な耐火パテで充填しました。
今回これを、徹底的に改良するため、1300℃にも耐える耐熱ブランケットという綿状の断熱材をドームの上に直接覆うことにしました。
1300℃にも耐える、耐熱ブランケット断熱材
さらにその上から、幅1m以上で厚みは家庭用アルミホイルの3倍はあるアルミ箔で覆いました。
これは断熱材の漏れを完全に防ぐためでもありますが、耐熱ブランケットをおさえる意味と、熱の反射効果も期待できるので1石3鳥です。
今回のこの補修でこのピザ窯もかなり性能が上がったと考えられます。
屋根を再び作りなおしました。
最後に元通り屋根を直して完了!
ちょうど夕方5時でした。
しかし今回、とても嬉しかったのは、自遊の森ではこれが4台目の石窯になりますが、
『ナポリピッツァが焼けるのはこの石窯が初めて!焼け方は最高!』
と言ってくれたことです。
数日前、イタリアンレストランのシェフも来て、みんなで試し焼きをし
『この石窯を持っていて、ナポリタイプのピザを焼かないと、もったいない。』
と話していたそうです。松ちゃんが伝えてくれました。
こう言われては、徹底的によりよく直すしかないです!
現在、石窯のバリエーションは直径1mの1種類しか扱っていません。でも、このような困ったことに出くわしてはそのたびに、改良策を考え、いくつもの改良や、改善をしてきています。また、オーナーの様々な要望にこたえるため、軽くしたり、素材を変えたり、見た目ではあまり分からないこともたくさんやっています。
オーナーから教えていただくこともたくさんあります。
『困ったな!』という時、真摯に向き合うことで、分かることもたくさんあり、結果的にはこういう時ほど改良が進みます。
今回のケースも、かなり勉強になり、より良い窯に進化することができたのではないか、と思っています。一種類の窯ですが、徹底的に改良を加えてきています。
そろそろ、これより小さいの、大きいの・・・と、バリエーションの方も増やしていきたいと考えています。